褒められたとき、「そんなことないです」と反射的に言ってしまう。
でも「ありがとう」と返すのも、なんだか調子に乗ってるみたいで怖い──。
嬉しいはずの言葉を、素直に受け取れないことってありませんか?
褒められるのが苦手な自分は、もしかしておかしいのかも…。
そんなふうに不安になってしまうことも、あるかもしれません。
でも、安心してください。
褒められることにこそばゆさを感じる人は、実は意外と多いです。
この記事では、「なぜ褒められるのが苦手なのか」という心の背景を一緒に見つめながら、少しずつ、やさしく受け止められるようになる考え方をご紹介します。
- なぜか褒められることに気まずさを感じる
- 褒められたとき、どう反応すればいいかわからない
- 相手がどんな気持ちで褒めたのか、気になってしまう
褒められるのが苦手…なぜ?

褒められることに、怖さや気まずさを感じるのには、いくつか理由があります。
これは決して特別なことではなく、状況によっては誰にでも起こり得ることです。
- 自己肯定感の低さ
- 自己認識とのズレ
- 「謙遜が美しい」という日本文化
- 過去のできごとの影響
こうした背景が、褒め言葉を素直に受け止めるときの「ちょっとしたハードル」になっていることがあります。
それぞれ、もう少し詳しく見ていきますね。
①自己肯定感の低さ
褒められることが苦手な人の背景には、自己肯定感の低さが関係していることがあります。
自己肯定感が低いと、自分のことを控えめ、あるいは厳しめに評価してしまいがちです。
そのため、褒め言葉を受け取ったときに、自分が思い描いている「本当の自分の姿」とのギャップを感じてしまうのです。
「そんなふうに思ってもらえるのは嬉しいけど、まだそこまでじゃない」
このように感じるのは、自分の良さを受け入れることに慣れていないせいでもあります。
「自分を否定しないこと」は、思っている以上に勇気のいる行動なのです。
②自己認識とのズレ
褒められることが苦手になる背景には、自己認識と相手の評価とのズレが関係している場合もあります。
これは自己肯定感の高低にかかわらず、誰にでも起こりうることです。
例えばあなたが営業マンで、血がにじむような努力を重ねて売り上げトップを獲ったとします。
そのときに周囲から返ってきた言葉が、
「あなたは他の人より才能があるね」
「やっぱりセンスがいいね」
だったら、どんな気持ちになるでしょうか。
努力の部分をまるごとすり抜けて、才能やセンスだけで評価されたように感じてしまうかもしれません。
褒められたはずなのに、なぜかしっくりこない。
このような「見当違いの褒め方」が積み重なると、「誰も自分をちゃんと見ていない」というさびしさや孤独感が心に残ってしまうことがあります。
こうして、褒められても素直に喜べないという感情が少しずつ育っていき、結果的に褒められることそのものに苦手意識を持つようになるのです。
③「謙遜が美しい」という日本文化
褒められることが苦手になる背景には、日本独特の価値観も深く関わっています。
日本には昔から「へりくだる」という考え方があります。
これは、自分を少し下げることで、相手を立てるという伝統的なコミュニケーションのかたちです。
このように無意識のうちに刷り込まれている人も少なくありません。
こうした価値観のなかで育つと、
「自分を高く評価するのはよくない」
「“ありがとう”と受け取るのは、ちょっと気が引ける」
という感覚が自然に身についていきます。
この謙遜の習慣は、相手を思いやる美しい文化である一方、同時に「調子に乗らないように」という自己防衛の感覚にもつながっています。
つまり、褒められたときに素直に受け取れない気持ちの一部には、この「控えめこそ美徳」という文化的な土台があるのです。
④過去のできごとの影響
過去に褒められたことで嫌な思いをした経験があると、その記憶が心に残り、褒め言葉そのものに不信感を抱くようになることがあります。
例えば、
こうした経験があると、「褒めてくれているのは本音なのだろうか」と勘ぐってしまうのも無理はありません。
本音と建前の境目がわからなくなると、相手の言葉そのものを信じることが難しくなっていきます。
やがて、「いっそのこと褒めないでほしい」と感じるようになることも少なくありません。
このタイプの人は特に、「ありがとう」と返すことにすら不安を感じてしまいやすいのです。

“褒められる=嬉しい”とは限りません。
心の中では、その人なりの理由や記憶がちゃんと息づいています。
その気持ちを否定しなくてもいいのです。
褒めるときの優しい気持ちを思い出してみよう

ここまでお話ししてきたように、褒められることが苦手なのには、何かしらの理由があります。
「褒められたのに素直に喜べないなんて、冷たい人間なのかな…」
そう思ってしまうことも、ありますよね。
でもそれは、冷たいからではなく、しっかりと受け止めようとしているから。
「自分はそこまでじゃない」と感じるのは、まじめで誠実な心の反応です。

とはいえ、このままずっと褒められることが苦手でいるのはつらいですよね。
ではここで少し、立場を入れ替えて考えてみましょう。
あなたが誰かを褒めるのは、どんなときですか?
多くの場合、褒めるという行動は、相手の良さを見つけたときに自然にわいてくる気持ちの表れです。
それは、「あなたのことを見ているよ」という、優しいサインでもあります。
褒められるのが怖いとき、その言葉を「自分の評価」としてではなく、「相手があなたに向けた気持ち」として受け取ってみる。
それだけでも、心のハードルが少しやわらぐかもしれません。
褒められることが怖くなくなる受け止め方

「褒められるのが苦手」という気持ちは、ちょっとした工夫でその怖さをやわらげることができます。
ここからは、心が少し軽くなる受け止め方をご紹介します。
「ありがとう」のあとに続ける3つの言葉
褒められたときに返す定番のフレーズといえば、「ありがとう」ですよね。
でも、褒められることが苦手だと、この「ありがとう」という言葉さえも、ふさわしいのかどうか悩んでしまうことがあると思います。
感謝を伝えたいのに、「これでいいのかな」と心の中で立ち止まってしまうんです。
そんなときは、「ありがとう」のあとに、こんな言葉を続けてみてはいかがでしょうか。
- 「嬉しいです」
→感情に焦点を当てた返し。 - 「自分では気づかなかったです」
→相手の視点を尊重する返し。 - 「そう言ってもらえて安心しました」
→褒めを「支え」として受け取る言葉。
どれも、「感謝を向ける対象」をほんの少しずらすことで、評価として受け取るプレッシャーを和らげています。
褒め言葉というのは、ある意味で「相手からの評価」でもあります。
だからこそ、自分が無理なく受け止められるかたちに「翻訳」をして返すことで、抵抗感を少なくすることができるのです。
素直に喜ばなきゃいけない、なんて思わなくても良いのです。
自分が納得して受け取れる部分を見つけるだけで、褒められることは少しずつ怖くなくなっていきます。
大切なのは「笑顔」を返すこと
褒められたとき、
「何を言えばいいんだろう」
「どう返すのが正解なんだろう」
そんなふうに言葉を探してしまうのは、相手にどう思われるかが不安だからではないでしょうか。
でも実は、褒め言葉を受け取るときにいちばん大切なのは、返す言葉そのものではありません。
大事なのは、「笑顔」でいることです。
褒められるのが苦手だと、無意識のうちにためらいが表情に出てしまうことがあります。
すると相手は「嬉しくなかったのかな…?」と受け取ってしまい、せっかくの気持ちがすれ違ってしまうこともあるのです。
これこそが、「調子に乗ってると思われるかもしれない」という不安を現実に変えてしまいます。
だからこそ、ただ笑顔で受け取る。
うまく言葉が見つけられなくても、それだけで、相手にはきちんと「気持ちが伝わった」と感じてもらえるのです。
褒め言葉は「評価」ではなく「気持ち」。
相手の言葉を信じる勇気を持つことから、始めてみてくださいね。
【傷ついた過去を、優しくほどいていくために】
心にもないお世辞を言う人や、陰で悪口を言う人──
悲しいことですが、そういう人がいるのも事実です。
過去にそのような経験があると、褒め言葉そのものが信用できなくなるのも無理はありません。
でも、どうか「世の中の人みんなそうだ」とは思わないでください。
あなたが誰かを褒めたいと思うように、心からあなたを喜ばせたいと思っている人も、たくさんいるのです。

たとえ相手がお世辞で言っていたとしても、怖がる必要はありません。
むしろ、お世辞で言ったことを後悔させるくらいの、まぶしい笑顔を見せてあげましょう♪
まとめ
今回は、「褒められるのが怖い」と感じる気持ちと、その受け止め方についてお話ししました。
褒め言葉を素直に受け取れないことには、自己認識とのズレや文化的な背景・過去の記憶など、ちゃんとした理由があります。
そのうえで、
褒め言葉には、ほとんどの場合「あなたを喜ばせたい」という想いが込められています。
その気持ちを否定せず受け取ることは、あなた自身の優しさでもあるのです。
すぐに上手に返せなくても大丈夫です。
少しずつ、「受け取ってもいいんだ」と心に許可を出すところから始めましょう。
完璧な言葉がなくても、笑顔ひとつで伝わるやりとりは、たくさんありますよ。
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