表情・しぐさ・声のトーン。
私たちは言葉以外にも、さまざまな方法で自分の気持ちを表現しています。
なんとなく雰囲気が好きだなと感じたり、一緒にいて安心できると思ったり…
このような印象の多くは、非言語コミュニケーションから生まれているのです。
この記事では、そんな非言語コミュニケーションについての
を、やさしく解説していきます。
「立ち振る舞いに自信がない」
「第一印象を良くしたい」
そんなときに役立つ、すぐ実践できるポイントをまとめました。
少し意識を変えるだけで、気持ちの伝わり方がぐっと変わりますよ♪
非言語コミュニケーションとは? ― 言葉よりも伝わる「サイン」

基礎知識
非言語コミュニケーションとは、「言葉を使わずに気持ちや意図を伝える方法」のことです。
「ノンバーバルコミュニケーション」とも呼ばれます。
具体的には、
- 表情
- 声のトーン・話し方
- しぐさ
- 距離感
- 身だしなみ・姿勢
といった、視覚・聴覚などを通じて伝わる情報のことです。
これらの情報はときとして、言葉そのものよりも強い影響力を持つことがあります。
言葉以外のようすから、言葉だけではわからない本音や、感情の温度を感じ取るのです。
非言語コミュニケーションが重要な理由
例えば、誰かに「ありがとう」と言われたとき。
私たちは言葉だけでなく、相手のさまざまな部分に注目しています。
これらを無意識のうちに総合して、「この人は本当に感謝しているんだな」と感じたり、逆に「言葉だけかな?」と受け取ったりします。
つまり、言葉の情報と非言語の情報を合わせてこそ、気持ちの全体像が見えてくるのです。
また、非言語には無意識に出てしまうものと、意識して使えるものがあります。
無意識な反応の例としては、「痛い」と感じたとき。
顔をしかめるのは自然に出る反応で、自分でコントロールするのは難しいですよね。
でも、「笑顔や声のトーン・身だしなみ」などは、自分の心がけひとつで変えることができます。
非言語コミュニケーションは、自分でコントロールできるものに注意を向けることで、
このような、「気持ちの橋渡し」の役割を果たしてくれます。

絵で例えるなら言葉は「線」、非言語は「色」。
両方を使いこなすことで、思い通りの「気持ち」が描けるようになるのです。
主な非言語コミュニケーションの種類
非言語コミュニケーションには、さまざまな種類があります。
ここでは、日常の中で特に印象に影響しやすい5つのポイントにしぼってご紹介します。
それぞれの項目で、「印象をアップするために意識したいコツ」もあわせて解説していますので、参考にしてみてくださいね。
①表情
表情を作っているのは、主に以下のような要素です。
表情は非言語コミュニケーションのなかでも、印象を大きく左右する要素のひとつです。
同じ言葉を口にしていても、そのときの表情によって、相手が受ける印象はまったく変わります。

このイラストではどちらも「頑張ります」と言っていますが、右の人に任せるとなると、少し不安を感じませんか?
このように、表情は相手に安心感や、ときに緊張感を与えるのです。
「表情」で印象をアップするには?
ポイント:笑顔は「目」まで笑う、目線は「ほどよく」がちょうどいい
無理に笑うより、力を抜くことを意識すると自然な表情になります。
②声のトーン・話し方
声のトーンや話し方も、表情と同じくらい印象に影響を与えます。
早口だったり、ほとんど間を置かずに話したりすると、相手に「せかされているような圧迫感」を与えてしまうことがあります。
逆に、声が低くて小さいと、自信がなさそうに見えることもあります。

また、声や話し方は感情と特にリンクしやすい部分でもあります。
例えば、
人は無意識のうちに、声の変化から相手の気持ちを感じ取っています。
電話などの顔が見えない場面でも、
「元気そうだな」
「落ち込んでるかも」
と感じるのは、こうした声の非言語情報をキャッチしているからです。
「声のトーンや話し方」で印象をアップするには?
ポイント:言葉だけでなく、声の質感や相手のための間を大切に
キャッチボールをするときのような感覚を持ち、相手の受け取りやすさを意識するようにしましょう。
③しぐさ
しぐさも、感情をわかりやすく伝える手段のひとつです。
身振り・手振りといったボディランゲージには、言葉では伝えきれない「気持ちの雰囲気」が表れます。
例えば、
こうした動作は言葉を補ったり、会話をスムーズにしたりする役割を果たしています。
言葉を発せない状況(距離がある・静かな場面など)でも、ジェスチャーによって気持ちを伝えることができます。
ただし、ボディランゲージは国や文化によって意味が異なることもあります。
「日本ではOKでも他国ではNG」という動作もあるため、注意が必要です。
また、しぐさは大きく分けると、オープン(開かれた)姿勢とクローズド(閉じた)姿勢があります。

人は言葉よりも、こうした動作に表れるサインから、相手の心の状態を感じ取ります。
逆に言えば、動作やしぐさを変えるだけでも、受け取られ方は大きく変わるのです。
「しぐさ」で印象をアップするには?
ポイント:心の開き具合を、身体の動きを使って示す
緊張は伝わるもの。リラックスして相手と向き合うだけで、自然と好印象になります。
④距離感
人にはそれぞれ、「パーソナルスペース(個人の心理的な縄張り)」があります。
「ここまでは近づいても平気だけど、これ以上は落ち着かない」と感じる距離のことです。

例えば、
これは、他人が自分のパーソナルスペースに入り込んだ不快さから、意識をそらしている状態です。
人との関係において、身体的な距離感は「信頼」と「安心感」を左右します。
いきなり距離を詰めすぎると、相手にストレスや不信感を与えることもあるのです。
また、パーソナルスペースは相手との親密度(心の距離)でも変わります。
「今この人とはどれくらいの信頼関係が築けているかな」と見極めることが大切です。
【性別・文化などによる違い】
パーソナルスペースの広さには個人差がありますが、性別・年齢・文化によっても傾向が異なります。
例えば、
- 一般的に女性のほうが男性よりパーソナルスペースが狭い
- 年齢が低いほど、パーソナルスペースが狭い など
状況や関係性にあわせて、少しずつ距離を調整してみましょう。
「距離感」で印象をアップするには?
ポイント:相手への配慮のある、ちょうど良い距離感を探す
距離感は、相手を尊重する「見えないマナー」。自分の感覚を押しつけないことが、信頼を育てる第一歩です。
⑤身だしなみ・姿勢
身だしなみは、自分の意志で整えられる、もっとも身近な非言語コミュニケーションです。
言葉を交わさなくても、「この人は信頼できそう」と感じさせる力を持っています。
主な要素は次の3つです。

身だしなみは、特に第一印象に強く影響します。
「きちんとしている人だな」という最初の印象があれば、その後の会話や行動も、良い方向に受け取られやすくなるのです。
心理学ではこれを「初頭効果」と呼び、最初に得た情報がその後のイメージを大きく左右するとされています。
【初頭効果】
最初に入ってきた情報が、全体の印象を決定づけやすいという心理現象。
人の見た目だけでなく、文章・広告・SNS投稿などにも当てはまります。
香りもまた、身だしなみの一部です。
適度であれば清潔感を引き立てますが、強すぎると不快に感じられることもあります。
最近は香りの強い柔軟剤や洗剤も多いため、香りの量にも気を配ることが大切です。
自分にとって心地よい香りでも、相手にとっては違う場合があることを覚えておきましょう。
「身だしなみ・姿勢」で印象をアップするには?
ポイント:清潔感+その場に合ったトーンを意識する
身だしなみは「自分を大切に扱っている」ことの証明でもあります。それが結果的に、相手への思いやりとなって伝わります。
非言語を上手に活用するためのポイント

ここまでご紹介したように、非言語コミュニケーションにはたくさんの活用法があります。
でも、いきなり全部を取り入れるのは大変ですよね。
そこで、特に意識してみると良いポイントをまとめてみました。
無理せずできそうなことから始めてみてくださいね。
自分のクセを知る
自分がよく取ってしまうしぐさや動作が、周りからどう見えているかを一度振り返ってみましょう。
クセがあること自体は悪いことではありませんが、場合によっては相手に伝わる印象が自分の意図とズレてしまうことがあります。
誤解を招く可能性のあるクセを見直すことで、より信頼される印象に近づけます。
とはいえ、自分のクセはなかなか気づきにくいもの。
そんなときは、家族や友人など、身近な人に率直に聞いてみるのもオススメです。

私は以前、「人の目を見すぎ」と指摘されたことがあります。
ちゃんと話を聞いているからこそのクセでしたが、
相手にとっては圧になる、ということですね。
相手を安心させる非言語を意識する
相手に安心してもらういちばんシンプルな方法は、「言葉と行動を一致させること」です。
人は言葉だけでなく、「表情・声・しぐさ」など、さまざまな非言語情報を手がかりに相手の感情を判断しています。
そのため、言葉と態度が食い違っているとき、言葉よりも非言語のほうを信じる傾向があるのです。
この現象を説明したのが、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによる「メラビアンの法則」です。

メラビアンの実験によると、人が他人の感情を判断するときの割合は以下の通りでした。
つまり、印象の93%は言葉以外の「非言語」から受け取っているということです。
この法則は「言葉と非言語が矛盾している場合に、どの情報が優先されるか」を示した研究です。
すべてのコミュニケーションに当てはまるわけではない、という点に注意が必要です。
この法則からわかるのは、言葉と非言語が一致していないと、人は無意識に「本音」を探ろうとしてしまうということです。
「言葉の裏を読む」行動は、相手の心に負担をかけることにもつながります。
だからこそ、言葉と非言語をそろえることが、安心感を生むカギになります。
どれもささやかなことですが、こうした積み重ねが「信頼できる人」という印象を育てていくのです。
相手の非言語を観察する
非言語コミュニケーションを上手に使いこなしている人の行動からは、学べることがたくさんあります。
例えば、「この人の話、なんだか引き込まれるな」と感じたとき。
その人がどんな表情・声のトーン・間の取り方・しぐさをしているのか、少し観察してみましょう。
言葉とそれ以外の要素がうまくかみ合っている人は、聞き手に安心感や説得力を与えます。
これは、非言語の使い方に気を配っているかどうかの違いによるものなのです。
身近な人に限らず、好きな有名人や、話し上手な人の動画を「観察視点」で見るのもオススメです。
こうした部分に意識を向けると、「なぜこの人の話が伝わりやすいのか」が見えてきます。
気づいたポイントを、自分にもできるかたちで少しずつ取り入れていくと良いでしょう。
【相手の感情を決めつけないようにしよう】
非言語から得られる情報は多いですが、それだけで相手の気持ちを決めつけると、思わぬ誤解を生むことがあります。
例えば、「表情が険しくて不機嫌に見えた」としても、実際は「考えごとをしているだけ」ということもあります。
大切なのは、非言語で感じたことを、言葉で確認することです。
「今ちょっと疲れてる?」などと聞いてみるだけで、誤解を防ぎ、関係がより深まります。

非言語は「相手を理解するための補助ツール」のようなものです。
表情やしぐさはヒントにはなっても、それがすべてではありません。
「知ろうとする姿勢」こそが、いちばん伝わる非言語なのです。
【おまけ】文章だけのやりとりにも非言語はある?

現代は対面での会話よりも、チャットやLINE・SNSなど、文章だけのやりとりが圧倒的に多いですよね。
表情が見えない分、文章の中に「非言語のニュアンス」を込める工夫が必要になります。
例えば、
といったように、同じ言葉でも語尾のトーンで印象はまるで別物になります。
表現ひとつで距離感や、言葉の柔らかさが大きく変わるのです。
こうした非言語的な表現を意識すれば、画面越しの会話もさらに心地よくなりますよ。
おわりに
今回は、「非言語コミュニケーションを上手に活用するコツ」についてご紹介しました!
非言語コミュニケーションは、ときに言葉より雄弁に気持ちを伝えてくれる手段です。
表情や声のトーン、姿勢や距離感。
ひとつひとつは小さなサインの積み重ねですが、そこには気持ちがはっきりと表れます。
言葉がうまく出てこないときも、笑顔やうなずき・声のトーンが、あなたの気持ちをそっと届けてくれるのです。
非言語を前よりも少しだけ意識してみることで、人との関係もきっと優しく変わっていきますよ♪
- メラビアンの法則(“7-38-55ルール”の解釈と誤用):Tuvya T. Amsel (2019) 『An Urban Legend Called: “The 7/38/55 Ratio Rule”』 European Polygraph 13(2):95-99.
- パーソナルスペース、初頭効果:渋谷 昌三(2003)『表情、くせ、そぶりの心理学 しぐさで人の気持ちをつかむ技術』PHP研究所
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