コミュニケーション力を磨きたいと思ったときに、まず思い浮かぶのは
- 傾聴
- 質問力
- 相づち
といった、テクニック的な話ではないでしょうか。
私たちはつい、「どう行動すればいいか」を探してしまいます。
でも、「人とどう関わりたいか」と考えることは、一体どれくらいあるでしょう。
学んだことを実践しても、なぜか人間関係が楽にならない。
それどころか、気を遣うことばかり増えていく…。
そんなときは、テクニックよりも先に知っておいたほうがいいことがあるのかもしれません。
この記事では、
を、やさしく解説していきます。

コミュニケーションには、テクニックよりも先に整えておきたい「心構え」があります。
人との関わり方を見直して、心地よい人間関係を築いていきましょう♪
- 人見知りで、人と関わるのが苦手
- 人間関係で「疲れやすい」と感じている
- コミュニケーションのテクニックを学んだけれど、うまくいかない
【心構え①】コミュニケーションで大切なのは「信頼の積み上げ」

コミュニケーションには、大きく分けるとふたつの側面があります。
- 瞬間的に距離を縮める関わり方
- 時間をかけて距離を縮める関わり方
どちらも必要な関わり方ですが、瞬間的な方法だけに頼っていると、最終的にはうまくいかなくなってしまいます。
この項目では、コミュニケーションを長く続けるうえで欠かせない、「信頼の積み上げ」という土台についてお話ししていきます。
「相手との信頼度」が言葉の捉え方を変える
同じことを言われたのに、素直に納得できるときと、なぜか腑に落ちないときがある…。
そんなふうに思ったことはありませんか?
この違いが生まれる理由のひとつが、相手との「信頼度」です。
言い方や伝え方は、もちろん大切です。
どんな言葉を選ぶか、どんな順番で話すかによって、受け取りやすさは変わります。
ただ、それ以上に影響するのが、「この人の言葉なら信じられる」と思えるかどうかという土台です。
私たちは無意識のうちに、「何を言われたか」だけでなく、「誰から言われたか」を強く意識しています。
傾聴・質問・相づちといったテクニックも、それ自体が魔法のように効果を発揮するわけではありません。
これらは、信頼がある関係の中で使われるからこそ、意味を持つのです。
逆に、信頼が極端に低くなってしまうと、人はその相手と関わること自体避けるようになります。
そうなると、どれだけ伝える努力をしても、コミュニケーションそのものが成立しにくくなってしまうのです。
信頼は「一回の完璧なやり取り」だけでは得られない
コミュニケーションのテクニックとしてよく見かけるのが、「初対面の印象を良くする方法」です。
第一印象を良くしようとすること自体は、決して間違いではありません。
心理学でも、「初頭効果」というものが存在します。
これは、最初に受けた印象がその後の評価にも影響しやすい、という心理的な傾向のことです。
ただ、ここで忘れてはいけない前提があります。
それは、信頼は「一度きりのやり取り」では完成しないということです。
どれだけ第一印象が良くても、その後の関わり方によって、信頼が少しずつ下がっていくことは珍しくありません。
逆に言えば、初対面で多少ぎこちなかったとしても、継続的に関わる中で印象が大きく変わることもあります。
「最初は怖い人だと思っていたけれど、ちゃんと話してみたらそうでもなかった」
そんな経験をしたことがある人も、きっといると思います。
このように、コミュニケーションは一回きりの「点」ではなく、積み重なっていく「線」として捉える必要があります。
だからこそ、信頼を築くことに近道はないのです。
信頼を積み上げることで起こる変化
相手とのあいだに「信頼」が積み上がってくると、コミュニケーションのあり方にも、少しずつ変化が生まれます。
例えば、
うまく言葉にできなかったときでも、
「たぶん、こういうことを言いたいんだろうな」
と、「本当に言いたかったこと」を相手がくみ取ってくれるようになるのです。
信頼が積み上がるほど、一言一句すべてを整えなくても、気持ちや意図が伝わるようになっていきます。
「完璧なコミュニケーション」を目指さなくてもよくなることで、人間関係そのものが一気に楽になるのです。

「間違えても大丈夫」という心の余裕は、
お互いの安心感につながります。
【心構え②】全員と「平等」に関わらなくてもよい

信頼を積み上げていく過程で、「誰にでも平等に接しなければ」と思い、かえって苦しくなってしまうことがあります。
できるだけ公平であろうとする姿勢は、たしかにとても大切です。
一方で、平等を「常に・誰に対しても」保ち続けようとすると、心に大きな負担がかかってしまうこともあります。
「全員と平等に関わろうとすること」がなぜ苦しさにつながるのか、順番に整理していきます。
人には「人間関係のキャパシティ」がある
「人間関係に順位をつける」という考え方に、どこか後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。
でも実際には、ある程度の優先順位がなければ、人間関係そのものが成り立たないという側面もあります。
人には、時間・気力・注意力といった「人間関係に使えるキャパシティ」があるからです。
例えば、SNSで500人のフォロワーがいる場合を考えてみましょう。
500人全員と「平等に」関わろうとするのは、現実的にはかなり難しいことがわかります。
中でも特に大きいのが、時間的な制約です。
全員に等しく対応しようとすると、それだけで日常の時間が圧迫されていきます。
優先順位をつけないまま関わり続けると、心や体が疲弊し、結果的にどの人とも余裕を持って向き合えなくなってしまいます。
これはSNSに限った話ではありません。
職場や学校、プライベートなど、すべての人間関係に共通することです。
自分のキャパシティを正しく理解することで、無理のない人づきあいができるようになるのです。
平等とは誰も「特別」と思わないことでもある
もうひとつ、考えてみてほしいことがあります。
それは、「全員と同じように関わることが、必ずしも優しさとは限らない」という視点です。
例えば、あなたにたったひとりの親友がいるとします。
考え方が似ていて、言葉にしなくても気持ちをわかってくれるような人。
あなたにとって、その親友は他の人よりも特別で、大切な存在でしょう。
けれど、「平等であること」をとことん突き詰めて考えると、こんな矛盾が生まれます。
親友を「特別な存在」だと思っている
=特定の人を特別扱いしている
=不平等
平等とは、誰も特別扱いしないことでもあります。
言い換えれば、「自分にとって特別な人がいることは平等ではない」ということです。
でも、そんな考え方は苦しいですよね。
誰にだって、特別な人はいて当たり前です。
だから本当に大切なのは、
「自分にも、ほかの誰かにも、それぞれ特別な人がいる」
という前提を、ちゃんと認めることではないでしょうか。
誰かを大切にすることは、決して別の誰かを軽んじることではないのです。

「誰にでも平等でいなければ」と思うより、
「自分にとって特別な人を大切にしていい」と思えたほうが、
コミュニケーションは楽になる気がしませんか?
ここでいう「平等でなくてもいい」とは、「誰にでも特別な人がいることを認める」という意味です。
差別やえこひいきなど、「誰かを下に見る行動」を良しとするものではありません。
【心構え③】自分の中の「正しさ」を押し付けない

自分が選んだことや、じっくり考えて決めたことに対して、
「こっちのほうがいいよ」
「そのやり方、間違ってない?」
そんなふうに言われて、なんとなくモヤっとした経験はありませんか?
コミュニケーションがうまくいかないとき、問題は「正しいかどうか」ではなく、相手の価値観を置き去りにしてしまっていることにあるのかもしれません。
この項目では、気持ちのすれ違いが起こる背景を整理していきます。
正しさの基準(=価値観)は人それぞれ違う
世の中には、はっきりとした正解が存在するものと、人によって答えが変わるものがあります。
例を挙げてみると、
問題が起きやすいのは、本来「人によって答えが違うもの」を、正解がひとつしかないかのように扱ってしまったときです。
特に、人間の内面に関しての「正しさの基準」は、それぞれの経験や環境によって大きく変わります。
大きくリアクションする人もいれば、ゆっくり噛みしめるように話を聞く人もいる。
思いついたらすぐ言葉にする人もいれば、頭の中で整理してから言葉にする人もいる。
どれが正しくて、どれが間違っている、という話ではないのです。
それにもかかわらず、無意識のうちに
「普通はこうでしょ」
と、自分の基準を当てはめてしまうと、そこにすれ違いが生まれます。
大切なのは、人によって答えが違っていいものを、自分基準の「こうあるべき」で測らないこと。
それが、自分の中の「正しさ」を相手に押し付けないために、必要な視点なのです。
実例:私と夫の「理解のしかた」の違い
参考までに、私が「価値観を大切にしよう」と思うようになったきっかけを、ひとつお話しします。
私は夫と二人暮らしなのですが、夫は私が話している途中で、
「○○ってなに?」
「それってどういうこと?」
と、こまめに質問をしてきます。
一方、私はわからないところがあっても、いったん最後まで聞いて、あとで確認するタイプです。
そのため、最初のうちは
「なんで途中で止めるの?」
「なんでわからないの?」
と、イライラして当たってしまったことがありました。
当時の私は、まるで夫の理解力が足りないかのように感じていたのだと思います。
でも、一緒に過ごす中で、あることに気づきました。
それは、「私の理解のしかた」を正解として、同じやり方を夫に当てはめてしまっているのではないかということです。
どちらが正しい・間違っている、という話ではなく、ただ「理解のしかたが違う」だけだったのです。

自分の中の「正しさ」を唯一の基準にしてしまうと、
「許せない」と感じる場面が増えて、
結果的に自分自信も苦しくなってしまいます。
「心構え」=人をコントロールしようとしない関わり方

ここまでにご紹介してきた3つの心構えには、実は共通している考え方があります。
それは、「相手をコントロールしようとしない」ということです。
それぞれの心構えを、もう一度別の言葉で言い換えると、次のようになります。
- コミュニケーションは信頼の積み上げ ⇒ 相手を理解しようとする姿勢
- 全員と「平等」に関わらなくてもよい ⇒ お互いの優先順位を認め合う
- 自分の中の「正しさ」を押し付けない ⇒ 価値観の違いを尊重する
こうして見ると、コミュニケーションとは
「相手を自分の思い通りに動かすための技術」ではなく、
お互いが安心して関われる関係を、少しずつ育てていくプロセスだとわかります。
そしてこの考え方は、人とうまく関わることだけでなく、自分自身を守ることにもつながります。
例えば、
こうした相手に対しても、「自分が変わらなければ」と思い悩む必要はありません。
心地よいコミュニケーションとは、
「人は人、自分は自分」
という明確な線引きの上で成り立つものです。
「人をコントロールしようとしない」という心構えは、同時に「自分もまた、誰かの言いなりになる必要はない」という自己防衛にもなります。
テクニックは心構えがあってこそ輝く

ここまでずっと心構えの話をしてきましたが、「テクニックに頼るのは良くない」と言いたいわけではありません。
テクニックを用いるからこそ、スムーズにいく場面もたくさんあります。
でも、テクニックはそれ単体では、十分な力を発揮できません。
「心構え」を踏まえて使うことで、はじめて「伝える力を補強するための道具」として機能します。
逆に、「人とどのように関わりたいか」がはっきりしていないと、テクニックを使えば使うほど、消耗して疲れてしまいます。
行動にばかり目が向き、中身が追いついていないため、テクニックが単なる「やること(=ノルマ)」になってしまうからです。
テクニックはメインではなく、あくまでもサブ。
「自分の中にすでにある気持ち」を、より上手に伝えるために使うもの。
この順番を間違えなければ、テクニックはあなたを助ける強力な味方になってくれますよ。

このブログでも、コミュニケーションで役立つテクニックを紹介しています。
心構えを身につけたあとで、ぜひ活用してみてくださいね!


まとめ
今回は、「コミュニケーションの”テクニック”を学ぶ前に知っておきたい心構え」についてお話ししました!
「コミュニケーションは、テクニックよりも心構えが大切」
そう聞くと、少し抽象的だったり、きれいごとのように感じるかもしれません。
けれど、コミュニケーションとは一度きりで完成するものではなく、人との関係が続いていく中で少しずつ形づくられていくものです。
どれだけ上手にテクニックを使っても、その場しのぎになってしまえば、人の心は自然と離れていってしまいます。
テクニックが本当に力を発揮するのは、「この人と、こんな関係でありたい」という意識が、自分の中に明確にあるときです。
まずは、人をどう動かすかではなく、人とどう関わりたいかを考えてみること。
それが、無理のないコミュニケーションへの、いちばんの近道なのかもしれません。
初頭効果:『世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ』マッテオ・モッテルリーニ,2009年,紀伊國屋書店
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