AIがすっかり身近な存在になりましたよね。
悩みごとをAIに相談したことがある人も多いと思います。
でもその一方で、
「これはAIじゃなくて、ちゃんとカウンセリングを受けたほうがいいのかな?」
と迷ってしまう瞬間もあるのではないでしょうか。
この記事では、
という私の経験から、利用者側の目線で「AIはカウンセラーの代わりになるのか?」についてお話ししていきます。

先に答えを言ってしまうと、
「AIはカウンセラーの代わりにはならない」
というのが現時点での私の結論です。
でも、これは決してAIが役に立たないという意味ではありません。
それぞれのできること・できないことを整理しながら、
上手に併用するコツについても解説していきます!
筆者は医療従事者、およびAIの専門家ではありません。本記事はあくまで「利用者としての経験」に基づいた内容であることを、あらかじめご了承ください。
AIとカウンセラーは「できることの領域」が違う
「AIはカウンセラーの代わりにはならない」というのが私の結論だと、最初にお伝えしました。
その理由は、両者の「できることの領域」が大きく違うからです。
違いを表にまとめると、以下のようになります。
| 観点 | AI | カウンセラー |
|---|---|---|
| ①反応の仕方 | 否定を避け、安全を重視する設計 | 否定も肯定もしない(中立的) |
| ②寄り添いのスタイル | 心理的安全に配慮した返答をする傾向 | 感情に巻き込まれず「プロの距離感」で関わる |
| ③判断材料 | 文章テキストのみ(非言語情報は扱えない) | 表情・声・姿勢など非言語情報も含め判断 |
| ④個別性への対応 | 過去のパターンに個人を当てはめる | 目の前の個人を診立てる |
| ⑤問題へのアプローチ | 思考整理・言語化を助ける | 根本改善のための行動変容を促す |
| ⑥相談のしやすさ | 24時間いつでも使える・気軽・疲れない | 予約が必要・時間が限られる・対面の緊張がある |
| ⑦身体的安全の確保 | 重大リスクを正確に判断することは難しい | リスクに対する専門性があり、対応も可能 |
| ⑧相談者との相性 | 個性が薄いので「合わない」は起こりづらい | 人同士のため、相性の良し悪しがある |
AIと対話していると、
「なんだか寄り添ってくれている」「カウンセラーみたい」
と感じる瞬間もありますよね。
私自身もそのように思うときはあります。
でも、あらためて比べてみると、これだけたくさんの違いがあります。
「役割がこんなに違うのに、”代わり”にしようとするのは無理があるのでは?」
と気づいたのが、私が「AIはカウンセラーの代わりにはならない」と考える理由です。
実際にカウンセリングを受けた体感も、AIに相談をするときとは違うものでした。
とはいえ、それぞれ良いところがあり、強みも異なります。
AIにはAIの得意分野があり、カウンセラーにはカウンセラーだからこそできる関わり方があるのです。
ここからは、表の中でも私が特に重要だと感じたポイントを、さらに詳しくお話ししていきます。

体験談をまじえながらお話しするにあたって、
私が「カウンセリングとAIをどのように利用してきたか」を簡単にお伝えしておきますね。
AIにできること・できないこと

AIはひとことで言うと「優しく、いつでもそばにいてくれる存在」です。
思考の整理や言語化が得意で、頭の中のモヤモヤをまとめたいときに役立ちます。
この項目では、AIの「できること」と「できないこと」を整理しながら、注意したいポイントもあわせて解説していきます。
いつでもどこでも24時間対応
AIの最大のメリットは、「自分が話したいときに、時間や場所を問わず対応してくれる」という点にあります。
24時間対応、しかも即レス。
これは、人間ではまず再現できない強みです。
「今すぐ気持ちを吐き出したい」
「誰かにちょっとでいいから聞いてほしい」
こんなふうに思う瞬間ってありますよね。
そんなとき、AIは「とりあえず今つらい」という気持ちを受け止めてくれる存在となってくれます。
そしてもうひとつのメリットは、「同じ話を何度繰り返しても大丈夫」という点です。
人間相手だと、
「また同じ話をしてしまったら申し訳ないかな…」
と遠慮してしまうこともあります。
でもAIは疲れることがありません。
極端な話、1万回同じ相談をしても、何度でも聞いてくれます。
この「繰り返しを気にしなくていい」という安心感は、大きな悩みを抱えているときほど重要な支えになります。
思考の整理・言語化が得意
考えがうまくまとまらないとき、AIは自分の代わりに思考を整理し、構造化してくれます。
例えば、こんなことができます。
AIが整理してくれることで、自分では気づけなかった観点にハッとすることもあります。
誰かに相談するとき、まず最初に
「うまく説明できるかな…」
「頭の中がまとまってない気がする」
という不安が出てきますよね。
もちろん、カウンセリングではカウンセラー側がうまく話を引き出してくれるものですが、それでもある程度の説明は必要です。
だからこそ、AIに気持ちを言語化してもらうことは、カウンセリングを受ける前の下準備としても役立つのです。
否定せずに受け止めてくれる
AIとやり取りをしていて、「かけてほしい言葉を返してくれる」と感じたことがある人は多いと思います。
例えば、
「愚痴です。聞いてください」
という言葉から始まる相談に対して、AIは
「もちろん聞きますよ。ここは自分の気持ちを自由に表現していい場です」
というように、安心感のある返答をしてくれます。
こうした対応から、
「AIは優しい」「寄り添ってくれる」
という印象が生まれるのです。
責めない・押しつけない返答は、気心の知れた友人に相談したときの感覚に近いものがあります。
「ちょっと聞いてもらって気持ちを軽くしたい」という場面とは、とても相性が良いのです。
ただし、ここでひとつ知っておきたいのは、AIが個人の気持ちを深く理解したうえで肯定しているわけではないということです。
これは、ユーザーの「心理的安全」を守るための設計による反応であり、「個別の感情を読み取って寄り添っている」わけではないのです。

この前提を知っておくと、AIとの距離感をほどよく保ちながら、
上手に活用しやすくなります。
文章の内容でしか判断できない
AIが判断に使える情報は、入力された文章テキストの内容だけです。
号泣しながら文章を打ち込んでも、
たっぷり時間をかけて、震えながら言葉を選んでも、
「文章の背景にある状態」が回答に反映されることはありません。
AIの返答の土台になっているのは、過去のデータやパターン(統計)を参照したテンプレートです。
洋服で例えるなら、
これほどの違いがあります。
つまり、人間のカウンセラーが行う「専門家目線での個人を注視した診立て」とは、根本的に違うのです。

より専門的な判断が求められる領域や、心の深い部分のサポートについては、現状AIでは限界があるということですね。
カウンセラーにできること・できないこと

カウンセラーは、「根本的な課題の特定」と「改善に向けたサポート」をしてくれる存在です。
感情の扱いにも長けていて、本人が気づいていない「原因」を丁寧に見つけていく姿は、まさにプロそのものです。
ただ、カウンセラーにも「できないこと」はあります。
「プロとして適切な距離を保つからこそ生まれる制約」と言ったほうが正しいかもしれません。
この項目では、AIと比較しながら、カウンセラーの「できること」「できないこと」をわかりやすく整理していきます。
目の前の個人を診立てる(オーダーメイド)
カウンセラーの最大の強みは、「その人自身に合った改善方法を、一緒に探していけること」にあります。
先ほどお話ししたように、AIは「過去の似たパターンに当てはめて最適解を返す」仕組みです。
そのため、どうしても回答が一般論の枠内に留まりやすく、個人の細かい特徴までは反映されにくい面があります。
一方カウンセラーは、言葉として出てきた内容だけではなく、
といった部分まで丁寧に拾い上げてくれます。
そのため両者には、
という違いが生まれます。
そしてカウンセラーは、「本当はこうなんじゃない?」とただ指摘するわけではありません。
その人自身が自分で気づいていけるように、道筋を並べてくれるのです。
これは単に問題を解決するだけでなく、「その人がどう変わっていくか」という過程そのものを大切にしているからこそできる関わり方です。
言葉以外からも心の状態を読み取る
人は、言葉そのものよりも「言葉以外」の部分に本音(深層心理)が表れやすいと言われています。
そのためカウンセラーは、相談者の表情・声のトーン・しぐさはもちろん、目線の動きや姿勢の変化など、細かな非言語情報も丁寧に見ています。
「暗い表情が笑顔になった」などの、誰でも気づくわかりやすい変化についてだけではありません。
心理学的な知見をもとに、もっと微細なサインも読み取っています。
例えば、
こうした「心の温度」は、相談者自身が気づいていないことも珍しくありません。
カウンセラーはこれらの情報を総合的に判断しながら、その人の心の状態を立体的に読み取っていくのです。
「言葉以外の情報(非言語コミュニケーション)」については、別の記事でさらに詳しく解説しています。
否定しないし肯定もしない「中立的な姿勢」
カウンセラーは相談者の気持ちに巻き込まれないようにしながら、冷静に話を整理していきます。
「あなたはそのように感じたのですね」
というのが基本的なスタンスです。
私自身の実際のカウンセリングで、こんなやり取りがありました。
「人をいつまでも許せないのは悪いことだと思っている」
そう話したときのカウンセラーの答えは
「その気持ちは間違っているわけではないよ」
というものでした。
これは「許せない」と感じる“感情そのもの”は、良い・悪いで決めつけなくていいという意味だと私は認識しています。
そのうえで、
- 気持ちをどう扱っていくか
- そのせいで自分がどれくらい苦しくなっているか
を一緒に整理していく、という流れでした。
カウンセラーは相談者の考え方を「良い・悪い」でジャッジしないことで、「存在そのものの承認」という一歩踏み込んだレベルでの肯定を行います。
(ただし、安全面に関わる行動については、例外的に助言や制止を行うこともあります。)
そのため、
といった、いわゆる「優しい友だち」のイメージで行くと、少し冷たく感じてしまうことがあるかもしれません。
でも、
AIのような「優しく同意してくれる存在」と、
カウンセラーの「中立的な専門家としての立場」は、そもそも役割が違います。
この前提を知っておくと、それぞれの距離感にも納得しやすくなるはずです。
根本改善に向けた「コーチ」的なサポート
カウンセラーは、相談者が「本質的に回復する力」を取り戻すための土台づくりを手伝ってくれます。
考え方のクセや行動を整えるために、「その人に適した方法」を一緒に探していくイメージです。
ここで誤解されやすいのが、
という受け取り方です。
実際のカウンセリングは、「問題をどう解決していくかを一緒に考え、相談者自身が動けるようにサポートする」という立ち位置にあります。
悩みごとを「断崖絶壁」に例えるなら、
ということです。
「運んでもらえる」と思って行くと、期待とのズレを感じてしまうこともあります。
根本的な改善には「自分で解決する力」を取り戻すプロセスが欠かせないというのが、カウンセリングの考え方なのです。

私も元々「カウンセラーは問題を解決してくれる人」と思っていたので、
「結局自分でどうにかするしかないんじゃない?相談する意味ある?」
とつらくなった時期があります。
でもよく考えたら、「これが正しいからこうしてね」と人に言われるだけでは、納得できないことってありますよね。
私たちが本当に前に進めるのは、「自分の中にある答え」に自分で気づいたときです。
その気づきにたどりつくまで、道すじを一緒に探してくれるのがカウンセラーなのだと、あとになって理解しました。
私が実際に受けたカウンセリング内容をまとめた記事もあります。
雰囲気や流れがイメージしやすくなると思うので、よければ参考にしてみてください。
違いだけでなく、共通点もある
ここまでAIとカウンセラーの違いについてお話ししてきました。
ですが、もちろん違いだけでなく、共通している部分もあります。
共通点を3つのポイントに分けて、簡単にご紹介します。
①話す(書く)ことで気持ちが整理される
ポイント:対話そのものが「思考の整理」につながるという点は共通
②相談者のペースに合わせて進めようとする
ポイント:アプローチ方法は違うが、相談者のペースを守る姿勢は同じ
③相談者の心理的安全を大切にしている
ポイント:どちらも「相談者の心の安全」を最優先としている
※ここでいう「安全」とは、心理的ストレスを増やさないという意味です。
身体的な安全確保(自分を傷つけるなど)については、現状AIには大きな課題があると言われています。
AIとカウンセラーの比較と共通点まとめ

ここまで見てきた、「AIとカウンセラーの違い」と「共通点」を図にギュッとまとめました。
AIとカウンセラーには共通点もありますが、それ以上に「役割の違い」と「補い合う関係性」があると私は感じています。
AIの進化は非常に早く、今後さらに高度な対話ができるようになる未来は十分ありえます。
ただし、そうであっても「根本的にどこが違うのか」を理解しておくことはとても大切です。
この違いを知っておくことで、
というのがより明確になり、相談先の選択肢も広がります。
私なりの結論:代わりにはならないけれど、役割は補い合える

これが、2025年12月時点での私の結論です。
以前は「専門家に相談するか、身近な人に話すか」という二択しかありませんでした。
それがAIの進化によって、「第三の選択肢」が生まれたのです。
言うなれば、AIは「専門家」と「友人」の間のような立ち位置です。
専門家のように悩みの根本解決までは至らないものの、友人よりも冷静に話を聞いてくれて、心の整理を手伝ってくれます。
それぞれの違いを理解し、補い合いながら使っていく。
そのバランスが、これからの相談スタイルとして自然なかたちなのではないかと、私は思っています。
おわりに
今回は「AIはカウンセラーの代わりになるか」というテーマを、体験談を交えながらお伝えしました!
「カウンセリングに興味はあるけれど、いざ受けるとなると不安」
そう感じている人は、決して少なくありません。
かくいう私自身も、そのひとりでした。
「身近な人には心配をかけたくないから相談できない」
と思ってしまうこともあるでしょう。
そんなとき、AIに相談するという選択肢は、心を軽くする手段のひとつとなってくれます。
AIとカウンセラー、それぞれの強みと限界を理解しながら、うまく活用してみてくださいね。
あなたの心が少しでも楽になりますように。
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