投げる・捕るだけじゃない!「言葉のキャッチボール」の本当の意味

コミュニケーション

会話はよくキャッチボールに例えられます。

「投げる=話す」
「捕る=聞く」

という行動がよく似ていますよね。

一見とてもシンプルに思える例えですが、実は想像以上にたくさんの共通点があるのです。

この記事では、「会話=キャッチボール」という比喩を紐解いて、「会話上手な人」とは一体どんな人なのかを解説していきたいと思います。

こんなアナタに読んでほしい

・人と話すのが苦手
・会話するときにどんなことを意識すればよいかわからない
・心地よい会話とはどんなものか知りたい

図で見る「キャッチボール」と「会話」

会話は目に見えないので、どこか捉えどころのないイメージがありますよね。
でも、「会話=キャッチボール」に置き換えて考えると、具体的・視覚的に想像しやすくなります。

「会話」を実際のキャッチボールの動作と照らし合わせたのが、以下の図です。

このように、会話とキャッチボールはリンクしている要素が非常に多いのです。

「言葉のキャッチボール」という比喩が、ただの言葉遊びに納まらないというのがわかりますよね。

この表を参考にしながら、「うまくいかない会話とはどんなものか」や「会話上手な人がしていること」を考えていきたいと思います。

言葉のキャッチボールが上手くいっていない例

速すぎる球を一方的に投げている

速すぎる球は、会話ではこんなものが当てはまります。

  • 専門用語ばかり使う
  • 相手への配慮が足りない正論

専門用語はお互いの知識レベルが同じくらいであれば会話をスムーズにしてくれますが、そうでないなら聞く側にとってストレスになります。
相手の立場や知識量を考えず、一方的に話しているのであればなおさらです。

また、たとえ正論であっても、相手を傷つけるような言い方ではキャッチボールは成立しません
ただ投げつけるだけなのであれば、それはキャッチボールではなく、相手を攻撃するためのドッジボールになってしまいます。

「正論パンチ」や「論破」に夢中になりすぎて、気付いた時には自分のまわりは敵ばかり…なんてことにならないよう、気をつけたいですね。

相手がキャッチしていないのに、次の球を投げている

相手の反応を見ていないと、以下のようなことが起こります。

  • 話がかみ合わない
  • 相手の理解度を気にせず、自分の話したいことばかり話す

相手がまだ構えていないのに投げている。
あるいは、相手がキャッチできなかったのに、拾うのを待たずに次の球を投げている。

そんな場面を思い浮かべてもらうと、わかりやすいと思います。

会話はお互いの歩み寄りや、認識がずれていないかの擦り合わせが肝心です。
この調整を怠ってすれ違ったままにしてしまうと、やがては信用の低下や不信感につながります。

相手が「はい」や「そうですね」しか返してこなくなったら危険信号です。
自分が投げているボール(=言葉)の数が多すぎないか、振り返ってみるといいかもしれません。

相手が投げた球をちゃんと見ていない

続いては、ボールをキャッチする側についてです。

  • 話を聞いてない、上の空である
  • 話を理解していない(理解する気がない)

投げる側がどんなに丁寧にボールを投げたとしても、受ける側にきちんと捕る気がなければキャッチボールとはいえません

相づちは打っているけれど、頭では別のことを考えていたり。
話を最後まで聞かず、「要するに○○でしょ?」と返したり。

受け止めてくれる気がない相手には、だんだんと人はボールを投げなくなっていきます。

  • 思っていることを正直に言ってくれなくなる
  • 会話自体しなくなる

最終的には、コミュニケーションをとることすら困難になってしまうのです。

「頑張って聞いていたけど理解できない」というのは、これとはまた違います。
相手の言葉をしっかり受け止めたからこそ、「自分にはわからない」ということがわかったのです。
この場合は、「わからなかったから教えて」というふうに返答できますよね。
ちゃんと言葉のキャッチボールができているので、安心してください!

言葉のキャッチボール上手な人がしていること

相手の構えを見てから投げる

「相手の構え」は会話に置き換えると、「相手の状況」や「相手のようす」と捉えることができます。

  • 相手の今の状況や、置かれている立場を踏まえて話す
  • 相手が受け入れやすい言葉を選ぶ

嬉しそうだったり、落ち込んでいたり、イライラしていたり…人の心は状況によって目まぐるしく変わります。
同じ人と話す場合であっても、そのときのようすに合わせて話題や言葉を変えますよね

たとえば、好きなアーティストのライブに当選して喜んでいる友人に、

「え~、チケット高いのによく行く気になるねぇ!」

などと言えば、相手の盛り上がっている気持ちに水を差してしまいます。

また、相手が失恋したばかりであれば、

「失恋なんて誰でも経験することなんだから大したことないでしょ!」

なんて言葉は到底受け入れられるものではないでしょう。

会話が上手な人は、こういった心の繊細な動きに敏感です。
「相手の構えを見る」というのは、相手の気持ちを尊重することでもあるのです。

たまに変化球も投げる

安定した投げ合いはとても心地よいものですが、ときには変化が欲しくなったりします。
会話に置き換えるなら、「変化球=例え話・ユーモア」といったところでしょうか。

  • イメージしやすいように、例え話をする
  • ユーモアをまじえた視点で話す

例え話や比喩は、ときに直接的な説明をするよりもわかりやすくなります
ただ「真っ赤」と言われるよりも、「郵便ポストのような赤」と言われたほうがより具体的にイメージしやすいですよね。

また、ユーモアには心の距離を近づける力があります。
それはユーモアが単なる「おもしろさ」だけではなく、「人柄」が反映されるものだからではないでしょうか。

「相手が緊張しているようだから、場を和ませたいな」
「もっと話に興味を持ってもらうためには、どうしたらいいかな」

自分が放った言葉は、相手をどんな気持ちにするか。
この想像力を働かせたものこそが、ユーモアなのではないかと思います。

投げ返しやすい球を投げる

なんだかこの人とはテンポよく会話ができる…!
そんなときは、もしかしたら相手が「投げ返しやすい球」を投げてくれているのかもしれません。

  • 相手の好みや関心にあわせた話題を振る
  • 相手との適切な距離を保った質問をする

投げ返しやすい球とは、会話でいうと「答えやすい質問」のことです。

好きなこと・興味のあることであれば、普段より熱を込めて語れますよね。
答えやすい質問をしてくれる人と会話をすると、言葉が引き出されていくような心地よさを感じます。

そして会話上手な人は、相手との関係性を考慮した話題を選ぶのに長けている、という特徴もあります。

初対面の人にいきなりプライベートなことを質問されて、答えにくい、または答えたくないと思ったことはありませんか。

「相手が今自分にどこまで心を開いてくれているか」を測る力は、会話だけでなくコミュニケーション全般に関わる大切な力です。

ワンバウンドしても拾ってくれる

ワンバウンドしたボールは、思わぬ方向に飛んでいったり、相手の手元まで届かなかったりします。
それでも相手がちゃんとキャッチしてくれたり、拾いに行ってくれると安心しますよね

  • 多少話がズレても汲み取って返す
  • 言葉がうまく出てこなくても察してくれる

運動が苦手な人がいるように、世の中には話すことが得意ではない人も大勢います。
会話が上手な人は、そのことをよく理解しているのです。

だからこそ、話のピントがズレてしまったり、わかりやすい言葉が返せなかったとしても、きちんと受け止めてくれます。

「うまく受け答えできなくてもいいんだ」と思えることは、大きな安心感につながります。

相手にプレッシャーを与えず、さりげなくフォローする
どこか温かみを感じられるやりとりに、人は癒されるのです。

まとめ:会話上手な人は「相手の心に寄り添う人」

「会話」と「キャッチボール」

どちらも、一緒に楽しむ「誰か」がいるからこそできることですよね。

会話上手な人ほど、キャッチボールをするときと同じように、相手のことをよく見ています。

  • 相手の心の状態にあわせた言葉を選ぶ
  • ユーモアもまじえながら、わかりやすく話す
  • 相手が答えやすい質問をする
  • リアクションから意図を汲んで、フォローする

こんなふうに心に寄り添ってくれる人とは、また会って話したくなるものです。

あなたが最近、心地よかった会話はどんなやりとりでしたか?

筆者自身も、「今の言葉はちゃんと届いていたかな?」と、問い続けられる人間でありたいなと思っています。

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