初級編・中級編に続き、ビジネス敬語クイズ上級編を作成しました!
上級編では正しい敬語表現かどうかだけではなく、「どう伝えれば角が立たないか」という相手への配慮も念頭に置いた問題をご用意しています。
…という言い回しのセンスが問われる内容です。
このクイズを通して、正しさプラスアルファの「思いやり敬語力」を身につけていただければと思います!
↓ビジネス敬語クイズ初級編・中級編はこちらです↓


ビジネス敬語クイズ・上級編10問!

Q1. クレーム対応中の謝罪として最も適切なのは?
A. 大変申し訳ありません
B. こちらの不手際で、すみませんでした
C. ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません
答え:C. ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません
何に対して謝っているのかをはっきりさせたうえで謝罪することが、信頼回復には重要です。
Bも何に対してか触れていますが、クレーム対応時に用いる言葉として「すみませんでした」は軽い印象を与えかねないため、避けた方がよいです。
Q2. 相手の言っていることがわからないときの返し方は?
A. 勉強不足で申し訳ございません
B. 失礼ですが、よくわかりません
C. 意味が分かりかねます
答え:A. 勉強不足で申し訳ございません
相手が使った専門用語を知らないなど、こちらの知識が足らず理解できないときの謝罪として使います。
わからないことを質問したいときは、「勉強不足で申し訳ございませんが、ご指導いただけないでしょうか」というように、クッション言葉としても利用できます。
Q3. お断りメールで、最も角が立たない文面は?
A. それはいささか難しいです
B. 申し訳ありませんが、対応できかねます
C. 誠に恐縮ではございますが、ご希望には沿いかねます
答え:C. 誠に恐縮ではございますが、ご希望には沿いかねます
「できません」という言葉を使わず、相手の気持ちを汲んだ表現をするのがポイントです。
対面であればBくらいシンプルな言い方で問題ないこともありますが、メールの場合はより形式を重視する傾向にあるためCが最適です。
否定的な表現を避けるというのは、ビジネスの場でコミュニケーションをとるうえでとても大切です。肯定的な言い方に変換したり、婉曲表現を用いることで印象を和らげることができます。
*「~できません」→「~しかねます、~できかねます」
*「~しないでください」→「~はご遠慮ください」
*「違います」→「相違がございます」 など
Q4. 先方の誤りを指摘したいとき、最も適切な伝え方は?
A. 間違っておられるかと存じます
B. お言葉を返すようで恐縮ですが、そちらの誤りと思われます
C. 恐れ入りますが、念のためご確認いただけますと幸いです
答え:C. 恐れ入りますが、念のためご確認いただけますと幸いです
たとえ明白な誤りだったとしても、相手に恥をかかせない思いやりが大切です。
自発的に確認してもらうよう促し、誤りを柔らかく伝えましょう。
Q5. 会議の延期をお願いしたい。丁寧な伝え方は?
A. 会議を延期していただけませんか?
B. ご都合を再調整いただくことは可能でしょうか?
C. 延期願えますでしょうか?
答え:B. ご都合を再調整いただくことは可能でしょうか?
相手に負担をかけてしまうことへの配慮がある言い回しをすると好印象です。
「こちらのしたいこと」ベースで伝えるのではなく、「相手にやってもらいたいこと」ベースで伝えてお願いをするというのがポイントです。
Q6. 電話を切るとき、印象が良い締めくくりは?
A. それでは失礼いたします
B. ごめんください
C. 今後ともよろしくお願いいたします。失礼いたします。
答え:C. 今後ともよろしくお願いいたします。失礼いたします。
単に「失礼いたします」だけではなく、今後の関係性についても触れるひとことがあると印象が良くなります。
Bの「ごめんください」も電話を切る際に用いられる表現で、誤りではありません。
ですが、もともとは家を訪問した時や対面で人と別れるときに使う言葉のため、「失礼いたします」を使ったほうが無難です。
「今後ともよろしくお願いいたします」は、今後継続的な付き合いをしていくか未定の相手に使うのは不適切です。
「またご縁がございましたら、何卒よろしくお願いいたします」など、状況に合わせた言葉に置き換えるようにしましょう。
Q7. 先方が怒っている時の対応として適切なのは?
A. 私では対応できかねますので、他の者に代わります
B. 恐れ入りますが、詳細をお伺いしてもよろしいでしょうか?
C. 誠に申し訳ございません
答え:B. 恐れ入りますが、詳細をお伺いしてもよろしいでしょうか?
自分が担当ではなかったとしても、まずはしっかり相手の話を聞き、なぜ怒っているのか確認しましょう。
相手が怒っていると、つい反射的に謝りそうになりますが、これはできれば避けた方がよいです。
責任の所在が明らかでないうちにむやみに謝罪してしまうと、こちらに落ち度がなかったときの対応が難しくなる場合があります。
一旦謝罪をしないと相手が落ち着きそうにないときは、「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」など、心情に寄り添った言葉を選ぶようにしましょう。
「怒り」や「不満」という感情に向けての謝罪であって、この時点では内容に言及しないのがポイントです。
Q8. 上司の指示に対して意見を述べたいときの言い方は?
A. あまり良くない気がするのですが…
B. ひとつ、別のご提案をしてもよろしいでしょうか?
C. それは間違っていると思います
答え:B. ひとつ、別のご提案をしてもよろしいでしょうか?
目上の方に意見を言いたいときは、ただ否定するだけで終わらせないことが重要です。
別の提案を用意しておくことは積極性のアピールにもつながります。
Q9. 納期遅れの連絡をする際、誠意が伝わる言い方は?
A. 申し訳ありません、間に合いませんでした
B. 大変申し訳ありません、○○でトラブルが発生し納期に遅れてしまいました
C. 大変申し訳ございません。納期に遅れが生じております。現在、○日の納品を予定しております。
答え:C. 大変申し訳ございません。納期に遅れが生じております。現在、○日の納品を予定しております。
遅れが発生した理由を説明するのも必要ですが、この場合、相手にとって最も重要なのは「納品はいつになるのか」です。
まずは「謝罪+現状+今後の見通し」を簡潔に伝えたうえで、事情の説明へとつなげるのが適切といえます。
Q10. 忙しそうな相手に話しかけるときの第一声は?
A. お忙しいところ恐れ入りますが、お伝えしたいことがございますので5分ほどお時間をいただけませんか?
B. すみません、ちょっとだけお時間もらってもいいですか?
C. お忙しいところ失礼いたします。今少しお時間よろしいですか?
答え:A. お忙しいところ恐れ入りますが、お伝えしたいことがございますので5分ほどお時間をいただけませんか?
まずは相手の状況を踏まえたひとことを添えてから要件を伝えるのが定石です。
Cも一般的な言い方ではありますが、具体的にどれくらいの時間を要するのかを最初に提示しておくと、相手の精神的な負担を減らせるためより印象が良くなります。
Q9とQ10には、日付や時間など「具体的な数字を提示する」という手法が使われています。
数字を使うことには以下のようなメリットがあります。
*具体的なイメージがしやすい
*すばやく理解できる
*人によって認識がブレるということがない
まとめ
結果はいかがでしたでしょうか?
7問以上正解だったあなたは、実践力バツグンの「思いやり敬語マスター」です!
今回は「断る・謝る・提案する」といった、ちょっと伝えづらいことを中心に問題を作成しました。
状況や相手に応じた判断力も必要になるため、言葉選びが本当に難しいですよね。
ですが、どんな場面であっても一番大切なのは、相手に敬意を払う気持ちです。
「敬語」は、文字通り相手への敬意を表すための言語表現です。
敬意の根底にある「気配り」や「配慮」を大切にすることで、敬語は自然と身についていきますよ。
ビジネス敬語クイズシリーズはこれにて一区切りとなります。
今後は実際の会話に見立てたクイズを作るのもおもしろいかなと思っているので、そのときはまたお試しいただけたら嬉しいです!
お読みいただきありがとうございました!
小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』
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