誤用しやすい言葉7選!「正しさ」よりも大切な「言葉の選び方」

ことば
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失笑・役不足・破天荒…

世の中には、本来の意味とは違った意味で理解されている言葉がたくさんあります。

そのため、言葉によっては話が噛み合わなかったり、補足説明をしないと伝わらなかったりすることがあります。

「うっかり違う意味で使って、揚げ足を取られるのが怖い…」
と感じてしまうこともあるかもしれません。

この記事では、

  • 誤用されやすい言葉の例
  • なぜ誤用が生まれてしまうのか
  • 行き違いを避けるための、言葉の選び方

を、やさしく整理していきます。

ミナモ
ミナモ

言葉の本来の意味を知りたい方はもちろん、
「正しく使ったのに伝わらなくてモヤモヤした」
という経験がある方にもオススメの内容です!

誤用されやすい言葉の例7選

誤用されやすい言葉は数多くありますが、中でも特に理解が分かれやすい言葉を厳選してご紹介します。
以下の点を整理しながら、解説していきますね。

  • 本来の意味
  • よくある理解のされ方
  • 言い換えのヒントとなる「類語」

①失笑

本来の意味

  • 思わず笑ってしまう
  • がまんできず笑う
  • 類語:「吹き出す」

よくある理解のされ方

  • 呆れを含んだ笑い
  • 皮肉を込めた笑い
  • 類語:「冷笑」「嘲笑」

「失笑を買う」だと、愚かな言動によって笑われるという意味になります。
ただ、もともと「失笑」という言葉自体には、「呆れる・さげすむ」といったネガティブな意味はありません。

②役不足

本来の意味

  • 本人の力量に対して、役目が軽すぎること
  • 類語:「物足りない」

よくある理解のされ方

  • 役目に対して、本人の力量が不足していること
  • 類語:「力不足」「荷が重い」

相手の実力を高く評価している場合に、「あなたには役不足だと思いますが…」といった使い方をします。

③破天荒

本来の意味

  • 誰も成し遂げていないことをする
  • 前例を破ること
  • 類語:「前代未聞」「未曾有みぞう

よくある理解のされ方

  • 豪胆で勢いのある様子
  • 突飛で常識外れな様子
  • 類語:「豪快」「大胆」「型破り」

「行動が派手」という意味ではなく、「前例のなさ」を表す言葉です。

④確信犯

本来の意味

  • 政治・宗教的等の信念に基づき、本人が「自分は正しい」と信じて行う犯罪、または行う人。
  • 類語:「思想犯」「政治犯」

よくある理解のされ方

  • 悪いことだと分かっていながらする行為、または行う人。
  • 類語:「故意」「わざと」

ここでいう「確信」とは、「自分の信念は正しいと確信している」という意味です。

⑤姑息

本来の意味

  • その場しのぎ
  • 一時しのぎ
  • 類語:「間に合わせ」「場当たり」

よくある理解のされ方

  • 卑怯なこと
  • 正々堂々としていないこと
  • 類語:「卑劣」「ずるい」

本来の意味は「一時的に切り抜けること」であり、良い・悪いといった価値判断のニュアンスは含まれていません

⑥敷居が高い

本来の意味

  • 相手に不義理などをしてしまい、行きにくい
  • 類語:「気まずい」「合わせる顔がない」

よくある理解のされ方

  • 高級すぎたり、上品すぎたりして入りにくい
  • 類語:「恐れ多い」「高嶺の花」

本来は相手に対して「うしろめたい気持ち」があるときに使う言葉です。

⑦うがった見方

本来の意味

  • 物事の本質を捉えた見方
  • 類語:「鋭い見方」「掘り下げた見方」

よくある理解のされ方

  • 疑って掛かるような見方
  • 類語:「ひねくれた見方」「懐疑的かいぎてきな見方」

穿うがつ」という言葉の派生表現で、元々は「穴をあける」「貫く」といった意味があります。

実際にどのくらい誤用されているのか

ご紹介した7つの言葉はすべて、文化庁の『国語に関する世論調査』で過去に調査対象となったことがある言葉です。

  • 本来の意味
  • 誤用されやすい意味

を提示し、「どちらの意味だと思うか」を回答してもらう形式で調査が行われています。

下の表は、この調査結果をもとに、それぞれの言葉についてどの意味で理解している人が多かったかの割合をまとめたものです。

言葉(調査年度)本来の意味誤用されやすい意味
失笑(令和5年度)こらえきれず吹き出して笑う
26.4%
笑いも出ないくらい呆れる
67.0%
役不足(平成24年度)役が軽すぎる
41.6%
本人の力不足
51.0%
破天荒(令和2年度)前例のないことをする
23.3%
豪快で大胆な様子
65.4%
確信犯(平成27年度)正しいと信じて行う犯罪
17.0%
わざと悪いことをする
69.4%
姑息(令和3年度)一時しのぎ
17.4%
卑怯な
73.9%
敷居が高い(令和元年度)不義理をして行きづらい
29.0%
高級・上品すぎて入りづらい
56.4%
うがった見方(令和5年度)本質を捉えた見方
32.7%
疑って掛かる見方
60.7%
※文化庁ホームページ『国語に関する世論調査』をもとに、当サイトにて編集・加工
※一部表現の調整・簡略化をしています

結果を見ると、すべての言葉で「本来の意味よりも誤用されやすい意味で理解している人のほうが多い」ということがわかります。

ミナモ
ミナモ

間違った意味で理解している人がこれだけ多いと、
「正しく使ったのに伝わらない」ということが起こりますよね。
果たしてこれは、「言葉」としてきちんと機能していると言えるのでしょうか?

「言葉の誤用」が生まれるのはなぜ?

私たちは知らない言葉に出会ったとき、さまざまな方法を使ってその意味を理解しようとします。

言葉の誤用は、この「意味を推測する過程」の中で生じることがあります。

ここでは、私たちが普段どのように言葉を理解し、なぜそれが誤解や誤用へとつながってしまうのかを整理していきます。

言葉が持つイメージが強い

言葉には、漢字や読み方などから連想されやすいイメージがあります。

特に、

「失」「不足」「高い」

といった文字が含まれる言葉は、ネガティブな印象を受けやすいです。

例えば、「役不足」という言葉。

「〇〇不足」とつく言葉には、他に「運動不足・睡眠不足・栄養不足」などが挙げられます。

これらは「役不足」よりも日常的に使われるうえ、いずれも自分にとってマイナスの状態を表す言葉です。

そのため、「役不足」という言葉を目にしたときも、無意識のうちに

「役が不足している → 自分の能力が足りない」

と推測します。

「不足」という言葉がついているのに褒める用途で使われる、というギャップに違和感を抱いてしまうため、解釈としてより自然な「力不足」と捉えやすくなるのです。

前後の文脈から判断しようとする

単語の意味が分からないとき、人は文章の流れを手がかりにしてその言葉を理解しようとします。

都度辞書を引いて調べなくてもニュアンスが掴めるのは、この「文脈から判断する力」が働いているためです。

例えば小説を読んでいて、

「何も答えないとは、随分と姑息な手を使うものだ」

という一文が出てきたとします。

この場合、「姑息」

  • 「一時しのぎ」と捉えても
  • 「卑怯」と捉えても

文章としてはどちらでも意味が通ります。

前後の流れに違和感がないため、「もしかしたら違う意味かもしれない」と立ち止まるきっかけがありません。

その結果、実際とは違う意味のまま、その言葉を覚えてしまうことがあるのです。

「言葉の由来」や「成り立ち」を知る機会がない

言葉の意味は、由来や成り立ちを知ることで、理解しやすくなることがあります。

例えば、「破天荒」という言葉。
この言葉は、中国の故事に由来しています。

「破天荒」の由来

中国ではかつて、「科挙」と呼ばれる超難関試験が行われていました。

荊州けいしゅうという地域では、長いあいだ合格者が一人も出ず、この「合格者が出ない状況」のことを「天荒(=未開の地)」と呼んでいたそうです。

そんな中、ついに合格者が現れたときに使われた表現が、

「天荒を破る(=未開の状況が破られた)」

という言葉でした。
そこから、「前例のないことを初めて成し遂げる=破天荒」という言葉が生まれたのです。

このように言葉の由来を知ると、意味をストーリーで理解できるようになり、誤解も生じにくくなります。

ですが、言葉の由来や成り立ちは自分から調べない限り、知る機会がほとんどありません

知らない言葉に出会うたびに由来まで調べるのは、時間の使い方からしても現実的とは言えないでしょう。

そのため、由来を知る機会がないまま、イメージや使われ方だけで覚えてしまうということが起こるのです。

ミナモ
ミナモ

・イメージ
・文脈
・知識
こうした要素が重なり合って、
私たちは言葉の意味を理解しているんですね。

言葉の意味を知ることの「本当の大切さ」

誤用は自然と生まれてしまうもの

現在、『精選版 日本国語大辞典』には、約50万項目が記載されているそうです(参考:ジャパンナレッジ)。

これだけの数の言葉を、すべて正確に理解し使いこなすのは、正直かなり難しいですよね。

日本語の語彙の多さに加えて、文法や表現の細かさまで考えれば、誤用が生まれてしまうのも無理のないことなのではないでしょうか。

ミナモ
ミナモ

私は日本語を完璧に使いこなしている自信、ありません…。
もし間違っているところがあったら、こっそり教えてくださいね💦

それだけでなく、中には誤用として広まった使い方が定着し、辞書に載るようになるケースもあります。

記事の中で紹介した「確信犯」も、現在では「本来の意味」と「かつて誤用とされていた意味」の両方が、辞書や国語辞典に掲載されています。

このように、多くの人が使うようになることで、「必ずしも誤用とは言い切れなくなる」という逆転現象が起こることもあるです。

時代の変化とともに言葉の意味が変わるのは、決して珍しいことではありません。

これは見方を変えれば、「言葉がより多様化し、その時代に合ったかたちへと進化している」とも考えられるのです。

「正しい言葉」より「伝わる言葉」を選ぶ

言葉が変化していくものであるとはいえ、「本来の正しい意味」を知っておくことはとても大切です。

書籍や論文・公的な文書・ビジネスシーンなど正確さが前提となる場面では、意味を誤って使うことが許されない場合もあります。

誤用が一般的になっていたとしても、こうした場面で「あえて誤用を選ぶ」のは適切とは言い難いです。


では、日常会話などの、もっと身近でフランクな場面ではどうでしょうか。

こうした場面では、「言葉をどのように理解しているか」のすり合わせが、事前にできているとは限りません。

かといって、「この言葉ってこういう意味だよね?」なんて毎回確認するのもおかしな話ですよね。

そんなときに役立つのが、「正しい言葉の知識」のもうひとつの使い方です。

それは、「この言葉を、今ここで使うべきか?」と、先に考えてみることです。

「この言葉は誤解される可能性がある」という知識を持っていることで、

「別の言い方にしたほうがいいかもしれないな」

という選択肢が生まれます。

例えば、「相手に不義理をして行きづらい」ときに、それを伝える言葉が「敷居が高い」しか存在しないのであれば、言い換えの余地はありません。

でも実際には、

  • 「この前失礼なことを言っちゃったから、顔を合わせづらい…」
  • 「最近連絡していないから、会うのが気まずくて…」

こんな言い方でも十分伝わりますよね。

行き違いが起こる可能性のある言葉を、無理に選ぶ必要はないのです。

ミナモ
ミナモ

以前、とあるテレビ番組で、言葉の専門家がこんなことを話していました。
「誤用への対処法は、誤用されやすい言葉を使わないこと」
これを聞いたとき私は、「あ、それでいいんだ」と肩の力が抜けたのを覚えています。

言葉は、気持ちや意図を共有するために生まれたものです。

誤解が起こりそうなら、あえて選ばない
この選択肢を持っておくだけで、言葉のやり取りはずっと滑らかになります。

おわりに

今回は「誤用しやすい言葉の例と、言葉の選び方」について解説しました!

正しい意味を理解するのはもちろん大切で、必要なことです。

でも、「正しさ」だけを追い求めると、肝心な「気持ちのやり取り」が上手くいかなくなることがあります。

だからこそ、「正解」を知ったうえで、「使うかどうか」も含めて選択をすること。

この考え方が、言葉で心をすり減らさないためのヒントとなれば嬉しいです。

参考にした資料

※本文中の説明は、上記資料を参考にしつつ、当サイトの主旨に合わせて表現を調整しています。

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