LINEやチャットなどのやりとりが主流となったいま、電話をする機会ってほとんどないですよね。
だからこそ、急に電話対応をすることになったとき、怖くなってしまうことはないですか?
仕事関係の電話なら、なおさらですよね。
私はコールセンターで約8年働いています。
はじめは私も毎回ドキドキしながら電話を取っていましたが、今では一日に60~90件くらいの電話対応をしています。
ビジネス電話での不安を取り除くために、「コールセンターの中の人」として、アドバイスできそうなことを記事にまとめてみました。
少しでも参考になれば嬉しいです!
電話が怖い…なぜ?
お互いの顔が見えない
対面であれば、表情やしぐさから相手の感情をある程度察することができます。
しかし、電話だとそういった視覚的な情報が一切ありません。
「顔が見えない=相手の声以外の情報がない」
怒っている、不満がありそうなど、相手の声の調子や要件を聞いてみるまでわからないのは怖いですよね。
同様に、自分がどんなに笑顔で対応していたとしても、相手には見えません。
私はあなたに好意的ですよ!
あなたの意見に耳を傾ける気がありますよ!
というのを、言葉や声のトーンだけで伝えなければなりません。
感情が伝わらず、行き違ってしまうのでは…という不安があるのではないでしょうか。
聞き返すのが怖い
電話は電波状況などによって、声が聞き取りにくくなることがよくあります。
それだけでなく、相手の声が小さかったり、早口だったりすると、言っていることを聞き逃してしまうこともあります。
聞き返したりしたら失礼かも…と考えていると、電話で話すのが怖くなってきてしまいます。
沈黙が続くと焦る
電話で話すということ自体に慣れていないと、それだけで緊張してしまいますよね。
- 敬語がすぐに思い浮かばない
- 伝えたいことがうまくまとまらない
- 相手の機嫌が悪そうで、委縮してしまう
このように言葉がうまく出てこない状況で沈黙が続くと、余計に焦ってしまいます。
気が付くと、「えーと」や「あのー」ばかり言ってしまう、なんてこともあると思います。
突然の内容に対応できるか不安
電話は基本的に1対1でのやりとりなので、誰かが横から助け舟を出してくれるというのが期待できません。
わからないことや、自分で判断できないことを聞かれたときに、どう対応してよいか困ってしまうこともあると思います。
心の準備をしている時間がない
電話を受ける側の場合、自分でタイミングの調整をすることができません。
また、出るまではどんな要件かもわからないため、事前に対策を立てられないというのも、不安を感じる理由のひとつです。

こうすれば怖くない!5つのヒント
定型文を作っておく
特に、最初の一言は「決まった型」にしておくと良いと思います。
- 「お電話ありがとうございます、○○株式会社の○○でございます」
- 「いつも大変お世話になっております」
何回も繰り返すうちに、口になじんでスルッと言えるようになります。
慣れないうちは、ふせんに書いて見えるところに貼っておくのも、安心感があってオススメです。
自分なりの電話対応マニュアルを作ってみるのも効果的ですよ。
メモを用意する
自分から電話をする場合は、かける前に台本を作っておくと安心です。
要件、伝えたいポイントなどを、箇条書きでも良いのでメモしておきましょう。
手元にメモを用意しておけば、相手の話を書き留めるのにも役立ちますよ。
聞き返すときは理由を添える
聞き取れなかったり、言っていることがわからなかったりしたときは、聞き返して問題ないです。
むしろ、わからないまま話を進めるほうが失礼になってしまいます。
「声が途切れてしまったので、もう一度お教えいただけますか」
といったように、聞き返した理由を添えて伝えると、相手もすんなり受け入れやすくなります。
正確な敬語を使うことより、敬意を大切にする
ビジネス文書のような、ガチガチの敬語で話そうとしなくても大丈夫です。
もちろん最低限のマナーは必要ですが、チャットなどの文章と違って、電話での会話は目で見える形に残りません。
多少の間違いがあったとしても、耳で聞いて一度に処理できる情報には限界があるため、聞く側は敬語が正しいかどうかまではさほど気にしないものです。
それよりもずっと大切なのは、声のトーンです。
誠実さは声に出ます。
上手に敬語を使うことよりも、相手に敬意をもって接することを大切にしたほうが、お互いに気持ちよく電話ができます。
「敬語に不安がある」「敬語の復習をしたい」という方には、こちらの記事がオススメです。
基礎的なビジネス敬語を、クイズ形式で紹介しています。
いざとなったら、折り返す
どう対応すればよいか迷ったり、焦って混乱してしまうこともあると思います。
すぐに別の人に電話を取りつげるなら問題ないですが、無理な状況であれば折り返しを提案するのもひとつの方法です。
こちらからかけ直せば話すことを整理したり、メモを用意したり、充分な準備を整えることが可能です。
折り返しをする場合、以下の2つを必ず確認するようにしましょう。
- 都合の悪い時間を聞いておく
→都合の良い時間を聞くより、電話するタイミングの融通を利かせやすくなる。 - 折り返し先の電話番号を確認する
→個人の携帯からかけているけれど、折り返しは会社の代表電話にしてほしいといったケースなどもあるため。
「いつでも大丈夫」と言われた場合でも、連絡をするおおよその時間を伝えるようにすると、相手の安心感につながります。
電話とチャットそれぞれのメリット・デメリット
電話とチャットには、それぞれメリットとデメリットがあります。
これを知っておくと、「なぜ電話が必要なのか」や「なぜ苦手意識があるのか」を、客観的に理解することができます。
以下、表にまとめてみました。
項目 | 電話 | チャット(メール) |
---|---|---|
即時性 | ◎すぐに伝わる、確認できる | △返信に時間がかかることも |
正確性 | △聞き間違い、言い間違いのリスク | ◎記録に残る、見直せる |
柔軟なやりとり | ◎話の流れで調整しやすい | △一問一答になりやすい |
心理的ハードル | △緊張しやすい、慣れが必要 | ◎落ち着いて対応できる |
感情の伝わりやすさ | ◎声のトーンで気持ちが伝わる | △感情が伝わりにくい |
記録性 | △自分でメモする必要がある | ◎自動で履歴が残る |
マナーの難しさ | △とっさの敬語力が求められる | ○確認してから送信できる |
このように比較することで、電話とチャットにはそれぞれのデメリットを補う側面があることが見えてきます。
「スピード感」と「臨機応変さ」という電話の特徴は、怖さの原因であり、同時に強みでもあるのです。
できるなら電話は避けたい…という気持ちはとてもよくわかります。
コールセンターで働いているものの、正直私も電話は好きではありません。
でも、電話の良いところを知り、「好き」になれなくても「嫌いじゃない」と思えたら、電話は自分にとって大いに役立つ武器になってくれますよ。
中の人もやらかしている!あるある失敗談
名前を間違えてしまった
・石田(イシダ)さん → 三島(ミシマ)さん
母音が同じ苗字って、電話だとすごく聞き取りづらいんですよね…。
・中山(ナカヤマ)さん → 山中(ヤマナカ)さん
上下を入れ替えてもよくある名前の人は、呼んでるとだんだんどっちだったかわからなくなります…。

名前の間違いはトップクラスでNGです。
かなりアカンやつなので、復唱・確認を確実に行いましょうね!
(私は何度もやってますが…)
一言目から噛んでしまい、パニック
「お電話ありがとうございます」と言おうとして、
「おだんわ…あっ、お電話ありがとうごじゃ…すみません…」
と噛み倒して、静かになってしまったことがあります。

一言目から噛むと、精神的ダメージが大きいです。
ドミノ倒しのように噛みまくることがあります。
こんなときこそ勇気をもって少し間をあけて、仕切り直しましょう!
相手の話にかぶせてしまった
「さようでございますか」
と相槌を打とうとしたら、相手の話にガッツリかぶってしまい、微妙な空気に。
焦って、謝って、またかぶって…悪循環。

一度かぶるとそのあと何度でもかぶるんですよね…不思議。
電話は“間”が命です。
相手が話し終わったか、また話し始めようとしていないかをよく聞き取りましょう!
さいごに
使う機会が少なくなってきているものの、電話も現役のビジネススキルであるといえます。
たまにしか使わないからこそ、怖いと感じるかもしれません。
もしどうしても克服できないと思ったら、こう考えてみるのはどうでしょうか。
「電話の向こう側にいるのも人間。もしかしたら同じように不安な気持ちで電話しているかもしない」と。
電話が苦手な人は増えています。相手だって、電話は得意ではない可能性もあります。
自分だけではないと思ったら、少し気持ちが楽になりませんか?
はじめは丁寧に対応しようという気持ちが伝わればOKです!
電話は数をこなせば少しずつ慣れていくので、焦らずゆっくり取り組んでくださいね。
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