「コミュニケーションは大事」
家族・友人・職場の人間関係――。
日々の暮らしでそれを実感する場面って、たくさんありますよね。
でも、「実際にどんなことを意識してるかな?」と振り返ってみると、言葉にするのは意外と難しいものです。
この記事では、そんな “コミュニケーションの基本の「き」” を入門編としてまとめました。
はじめて学ぶ方にとっては、基本を知るきっかけに。
すでに意識している方にとっては、頭の中を整理する手がかりになるはずです。
さらに、後半では日常で役立つ「コミュニケーション力を高めるコツ」もご紹介します。
ぜひ気楽に読み進めてみてくださいね!
コミュニケーションとは、ズバリ何?

社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。
(小学館「デジタル大辞泉」より引用)
これが、辞書に書かれている「コミュニケーション」の定義です。
日本語だと、「意思疎通」や「相互理解」と言い換えることもできます。
ただ情報を伝え合うだけではなく、お互いの気持ちも含めて理解し合う、ということですね。
人と一緒に生きていくために、コミュニケーションは欠かせないものです。
でも「大事なのはわかってるけど、そもそもコミュニケーションってなんだろう?」なんて、普段あらためて考えることはあまりないかもしれません。
そこで次の項目では、コミュニケーションを基本的な「4つの柱」に分けて、わかりやすく解説していきます。

難しい専門用語はなるべく使わないようにしたので、
気楽に読んでみてくださいね!
コミュニケーションの基本の4本柱 +1

コミュニケーションは、
①聴く ②伝える ③感じ取る ④つなげる
の4つの側面から成り立っています。
まずはこの図で全体像をつかんでから、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
①聴く力 ― 相手を受け止める第一歩
傾聴
コミュニケーションをとるうえで、会話は必須。
その中でも特に大事なのが、「話の聞き方」です。
聞き方といっても、ただ黙って耳を傾けているだけでは、良いコミュニケーションにはなりません。
そこで出てくるのが、「傾聴」という考え方です。
傾聴とは、言葉の表面だけにとらわれず、「相手が思っていること・伝えたいことはなにか」に焦点を当てて話を聞く姿勢のことを言います。
このとき大切なのは、「理解したい」という気持ちをしっかりと行動で示すこと。
まずは、
- 相づちやうなずきでリアクションをする
- 話を最後まで聞く
という2つを意識することから始めてみてくださいね。
傾聴はもともと心理療法で使われていた、専門的なスキルです。
本格的に学ぶには深い知識が必要ですが、日常で使える要素を部分的に取り入れるだけでも、十分役に立ちます。

今回はコミュニケーションの入門編なので、
「相手の気持ちを知ろうとすることが大事なんだ」
ということだけ覚えてもらえればOKです。
適切なリアクションをする
会話でのリアクションといえば、代表的なのは「相づち」や「うなずき」。
これはただのマナーではなく、「ちゃんと聞いているよ」という合図になります。
適切なリアクションといっても、特別な技術はいりません。
ポイントは、相手の雰囲気に合わせることです。
例えば、相手が好きなことを楽しそうに話していたら、明るい声で「いいね!」と返してみる。
逆に、悩みを打ち明けてくれているなら、落ち着いた声で「そうなんだ」と深くうなずきながら聞く。
このように雰囲気(=気持ち)を合わせることで、相手は「共感してもらえている」 と感じやすくなります。
さらに効果的なのは、相手の言葉を少し繰り返すこと。
「ずっと欲しかったものが手に入って嬉しかった」
と言われたら、
「嬉しかったんだね」
とそのまま返してみましょう。
これだけで相手は「自分の気持ちをわかってくれている」と認識して、安心できるのです。
リアクションは「聴く力」の見せどころなので、難しく考えずに「相手に合わせて返す」ことだけ意識してみてくださいね。
話を最後まで聞く
「人の話は最後まで聞きましょう」
小さいころに、きっと一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
最後まで聞かないと内容がわからない、というのはもちろんですが、コミュニケーションの観点でもとても大切なことです。
これを意識するだけで、相手は驚くほど話しやすくなります。
ときには「ちょっと待って、それ違うと思う!」と口をはさみたくなる瞬間もあるかもしれません。
でも、そこをぐっとこらえて、相手がひととおり話し終えるまで待つのがコツです。
人は、自分の話を否定されずに受け止めてもらえると安心し、自然と「もっと話したい」と思いやすくなるのです。
【”自分の意見”は言っていい】
相手の意見を否定せずに聞くのは大切なことですが、決して「自分の意見を言ってはいけない」という意味ではありません。
コミュニケーションとは、お互いが伝え合うこと。
話を最後まで聞いたあと、「あなたはそう思うんだね。私はこう感じるよ」と返すのは、むしろ良いコミュニケーションのかたちなのです。
②伝える力 ― 自分の気持ちをわかりやすく
自分の気持ちを理解する
自分の気持ちや考えを、人に伝える。
そのためには大前提として、自分自身が「自分の気持ち」をわかっていなくてはなりません。
当たり前のように思えるかもしれませんが、意外と見落としがちなポイントです。
こんなときは、自分の感情をつかむことから始めてみましょう。
「楽しい」「うれしい」「悲しい」「イライラする」
まずはそんなシンプルな言葉からで大丈夫です。
いまの自分の気持ちをざっくりでも言葉にできれば、それが伝える力の第一歩になります。
気持ちを言語化する
シンプルな感情の入口が見つかったら、次はもう一歩だけ踏み込んで、その気持ちを言葉にしてみましょう。
感情はもともと「言葉になる前の反応」なので、はじめから上手に説明できなくても良いのです。
言葉にしていくコツは、小さな質問を自分に投げかけることです。
- 何が起きた?(出来事・場面)
- どこが引っかかった?(特に気になった点)
- 本当はどうしたかった?(期待・願い)
この3つがわかると、感情を言葉にしやすくなります。
慣れないうちは、決まった型(テンプレート)を作って、そこに当てはめて考えてみるというのもオススメです。
【例:1文テンプレート】
「私は[出来事]で[感情]。なぜなら[理由/期待]。」
こんなふうに、少しずつ言葉にする練習をしてみましょう。
1文でサッと書くだけで十分。長文にしようとしなくてOKです。
自分の心の声に耳を傾けるつもりで、急がずじっくりと進めてみてくださいね。
相手にとってわかりやすい言葉を選ぶ
自分の気持ちを言葉にできたら、次はいよいよ相手に伝える段階です。
ここで大切なのは、「相手にとってわかりやすいか」 を意識すること。
あいまいな表現はできるだけ避けて、伝わりやすい言葉に言い換えてみましょう。
例えば、誰かと待ち合わせをしていて、
「遅れてごめん!もうすぐ着くよ」
と連絡があったとしたら、どれくらいの時間を想像しますか?

私は昔、「もうすぐ着くよ」と言われて、
1時間待たされたことがあります(笑)
「もうすぐ」は基準があいまいなので、人によって感覚に差が出てしまいます。
ではこの「もうすぐ」を数字に置き換えてみると、どうでしょう。
×「もうすぐ着くよ」
○「あと5分で着くよ」
「5分」と伝えれば、誰が聞いたとしても認識が同じになります。
主観的な言葉を、客観的な言葉に置き換えるだけで、一気に具体的になりましたよね。
このように、「相手にとってわかりやすい言葉を選ぶこと」が、伝える力につながります。
ポイントはこの3つです。
これを意識するだけで、「伝わりやすさ」は大きく変わりますよ。
↓「伝える力」を高めたい方にオススメの記事はこちら↓
③感じ取る力 ― 言葉以外のメッセージ
表情や声、しぐさから伝わること
人の気持ちは言葉だけではなく、いろいろな部分に表れます。
言葉以外から伝わる情報を、非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)と呼びます。
一体どういうものか、イラストで見てみましょう。

二人とも同じことを言っていますが、より気持ちが伝わってくるのはどちらでしょうか?

もちろん、左側の笑顔の人ですよね!
左の人は「感謝」がしっかり伝わるだけでなく、「優しそう」「感じが良い」といったプラスの印象まで与えています。
一方、右の人は表情と言葉が伴っていないので、「本当にそう思ってるのかな?」と相手を不安にさせてしまいます。
私たちは、言葉そのものよりも「表情や声の調子」から多くの情報を受け取っています。
だからこそ、言葉と非言語がちぐはぐだと違和感を抱き、逆にそろっていると説得力が増すのです。
非言語コミュニケーションを意識することで、言葉では表しきれない繊細な気持ちまで伝えられるようになります。
言葉だけでなく、全身で気持ちを伝える。
これがコミュニケーションの土台のひとつなのです。
「言葉以外」から読み取りすぎない
「目は口ほどに物を言う」
ということわざがあるように、非言語コミュニケーションはわかりやすく、重要なものです。
でも、わかりやすいからこそ、気をつけなければならないことがあります。
それは、表情やようすだけで、相手の気持ちを勝手に決めつけないことです。
下のイラストをご覧ください。

これは、「『落ち込んでいる人』と、『体調の悪い人』の比較イラストを作成してください」という指示を出し、AIに描かせたものです。
このふたつのイラスト、かなり似ていませんか?
AIイラストと現実ではもちろん違いはあります。
でも、実際の人間も同じように、
など、共通点があります。
つまり、表情やしぐさだけで「落ち込んでいるのか、体調が悪いのか」を見分けるのはとても難しいということです。

私自身も、落ち込んでいるときに
「体調悪いの?」
と声をかけられたことが何回もあります。
この例に限らず、「見た目では同じように見える感情」というのはいくつも存在します。
表情や声、しぐさから得られる情報はたしかに多いです。
でも、それがすべてではありません。
大事なのは、言葉以外から感じ取ったことを、言葉で確かめること。
確認をして誤解を防ぐことが、本当に必要なコミュニケーションへとつながっていきます。
④つなげる力 ― 会話を広げる工夫
共感をわかりやすく示す
「ほかの人のことなのに、なんだか自分のことのように嬉しい」
そんな経験をしたことって、ありませんか?
相手の良いニュースを聞いたら、ぜひ 「私も嬉しいよ!」 という気持ちをはっきりと伝えてみてください。
例えば、
ちょっと大げさなくらいに示した方が、相手にはしっかり伝わります。
一緒に喜んでもらえると、相手は「受け入れられている」「分かってもらえた」と感じます。
この安心感があるからこそ、さらに話しやすくなり、会話が広がっていくのです。
コミュニケーションで大切なのは、相手が安心して話せる空気をつくること。
そのための一番シンプルな方法が、「共感をわかりやすく示すこと」なのです。
質問をして言葉のラリーを続ける
会話をテンポ良く続けるために欠かせないのが、「質問」です。
でも、ただやみくもに質問をしても、楽しい会話にはなりません。
【失敗例:質問攻め】
友人:「先月ハワイに行ってきたんだ」
自分:「いいね!ハワイのどのへんに行ったの?」
友人:「本島だよ」
自分:「そうなんだ!ハワイ旅行は初めて?」
友人:「2回目だよ」
自分:「ご飯もおいしそうだよね。何食べたの?」
友人:「(…さっきから質問ばっかりだな)」
この例では、相づちや質問はしているものの、「自分が知りたいこと」を次々と聞くだけになっています。
これでは相手は「話したいことを話せない」と感じ、会話が窮屈になってしまいます。
では、どうすれば相手は心地よく話すことができるでしょうか。
今度は成功例を見てみます。
【成功例:相手に主導権を渡す】
友人:「先月ハワイに行ってきたんだ」
自分:「そうなんだね!楽しそうでいいなぁ」
友人:「楽しかったよ。海が澄んでてすごくキレイだったね」
自分:「うらやましいな~!泳いだの?」
友人:「いや、浜辺を散歩しただけだよ。でも写真はたくさん撮った」
自分:「いいね!写真見せてほしいな!」
今度は「相手が話したいこと」に、きちんと寄り添っています。
相手が言ったキーワード(海・写真)に合わせて返事をし、自分の感想も伝えながら、質問をつなげていますね。
ポイントをまとめてみましょう。
「ハワイに行ったんだ」と話題を振るということは、相手はそのことをもっと話したいはず。
その気持ちを汲み取って、会話の主導権を相手に渡すようにしてみてください。
相手が気持ちよく話せる質問をすることが、言葉のラリーを上手に続けるコツです。
質問は「キャッチボール」と同じです。
相手のボール(言葉)をちゃんと受け取ってから投げ返すと、会話は自然に広がりますよ。
↓「つなげる力」を高めたい方にオススメの記事はこちら↓
【おまけの +1】切り替える力
「コミュニケーションの基本の4本柱」のおまけとして、私自身が大切にしている+1の心がけについてもご紹介します。
それは、「切り替える力」です。
コミュニケーションは、いつも思った通りにいくわけではありません。
なぜなら、私たちは相手の心を読めるわけではないからです。
「きっと相手はこう思っているだろう」
そう推測しながら会話をしますが、もちろん推測が外れることもあります。
期待した反応が返ってこないとき。
「わかってもらえない!」と決めつけるのではなく、すぐに気持ちを切り替えることが大切です。
自分の推測にこだわりすぎると、相手の気持ちを見失ってしまいます。
人の気持ちを知ろうとする姿勢は大事。
でも、人の気持ちは「わからないのが普通」。
そう受け入れることで、相手にも自分にも優しくなれます。
この柔らかい姿勢こそが、コミュニケーションをより心地よいものにしてくれるのです。
コミュニケーション力を育てる3つのコツ

ここまで、「コミュニケーションの基本の4本柱」についてご説明してきました。
- 聴く力 ― 相手を受け止める第一歩
- 伝える力 ― 自分の気持ちをわかりやすく
- 感じ取る力 ― 言葉以外のメッセージ
- つなげる力 ― 会話を広げる工夫
この4つを意識するだけでも、会話はぐっとなめらかになります。
とはいえ、コミュニケーションは一日で完璧にできるようにはなりません。
スポーツや楽器と同じで、少しずつ練習しながら身につけていくものです。
最後に、日常の中で気軽にできる「コミュニケーション力を育てる3つのコツ」をご紹介します。
できそうなものから試してみてくださいね。
①コミュニケーション上手な人の真似をする
最初にご紹介するのは、とても簡単で、なおかつ効果が抜群な方法です。
それは、身近にいるコミュニケーション上手な人の真似をすること。
お手本になりそうな人を見つけたら、その人を少し観察してみましょう。
「なぜこの人は感じが良いんだろう?」と考えるだけで、ヒントが見えてきます。
理由がわかったら、その中から自分にもできそうな部分を選んで真似してみましょう。
こんな小さなことからで十分です。
この方法の良いところは、教科書的なテクニックではなく、自分に合ったスタイルを選んで身につけられることです。
続けていけば、最初は「真似」だったことが、やがてあなた自身のコミュニケーションの一部になっていきますよ。

一番オススメの方法です!
私も周りの人の良いところをたくさん真似して、
少しずつ身につけました♪
②相手より先に自分から行動する
「この人と仲よくなりたいな」と思ったら、ぜひ自分から声をかけてみましょう。
ちょっと勇気を出して一歩踏み込むことで、相手との心の距離が近づきます。
「相手が先に声をかけてくれたらいいのに」と思うこと、ありますよね。
でも、自分だけ動いて空回りしたらどうしよう…と不安になるのは、みんな同じです。
だからこそ、自分から行動できる人はそれだけで印象が良くなり、相手の心を開くきっかけを作れるのです。
【最初の一歩は「あいさつ」から】
自分から人に声をかける練習に最適なのが、あいさつです。
「おはよう」「こんにちは」と声をかけるだけで場がやわらぎますし、そこから会話が広がっていくこともあります。
あいさつは一番簡単なコミュニケーション。
コツコツと継続することで、やがて大きな力になっていきます。
③相手に興味を持つ
「相手を好意的に感じているかどうか」は、コミュニケーションに大きく影響します。
尊敬している人や好きな人なら、自然と積極的に話したくなりますよね。
そして、この「好き」という気持ちの入口になるのが、相手に興味を持つことです。
相手の言葉にアンテナを立てて、気になる部分を拾ってみましょう。
心の中で「へぇ」と思うだけでは伝わらないので、ちょっとでもおもしろいと感じたらリアクションしてみてください。
たった一言でも、相手には「ちゃんと興味を持ってもらえた」と伝わります。
とはいえ、ときには「なんだか合わない…」と感じる人にも出会うと思います。
そんなときは、相手そのものではなく、相手の話の中から興味を持てる部分を探してみましょう。
小さな興味を見つけて反応するだけでも、会話は一段とスムーズになります。

大げさなリアクションをしなくても、素直に受け答えするだけでOK。
会話を盛り上げるのに、特別なテクニックはいりませんよ。
まとめ
今回はコミュニケーションの基礎となる「4つの柱」と、日常に活かすためのコツについてご紹介しました!
コミュニケーションは特別な才能ではなく、ちょっとした工夫で誰でも伸ばせるものです。
聴く・伝える・感じ取る・つなげる、そして切り替える。
この基本を少しずつ実践していけば、必ず変化が見えてきます。
無理をせず、あなたのペースでコミュニケーション力を育てていきましょう。
取り入れられそうなことから試してみてくださいね!
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